無効審決取消請求事件(タキソールを産生する細胞の培養方法)
判例紹介

無効審決取消請求事件(タキソールを産生する細胞の培養方法)

業務分野

タキソールを産生するT. chinensis細胞の培養を、「成長栄養培地」と「生産栄養培地」を用いる二段階培養によって行うことにより、高い容積生産量が得られることを内容とする発明の要旨認定において、「生産栄養培地」の用語の解釈が問題となった事案。特許庁・知財高裁は、特許請求の範囲に限定がないとして、「生産栄養培地」は成長に関して「成長栄養培地」と区別されないと解釈した。原告は、これらの用語には当業者の理解する意味があり、それに従って解釈しないと発明が技術的に意味を持たないと主張したが、知財高裁は原告の主張を入れなかった。原告敗訴の本判決に対して、本件で特許庁・知財高裁が行う発明の要旨認定の方法は従来からわが国で採用されているものであるが、少なくとも本件に適用される限りで、最高裁リパーゼ事件判決に反する旨の、上告受理申立理由書を提出した。しかし、最高裁判所は上告受理をしない決定をした。なお、知財高裁平成19年(行ケ)第10369号事件、平成20年6月24日判決では、特許請求の範囲の記載の文言によって要旨認定された発明について、その技術的意義を一義的に認定できない特段の事情があるとして、明細書の発明の詳細な説明を参酌して発明の要旨認定を行って、原審決を取り消している。すなわち、リパーゼ事件最高裁判決のいう特段の事情を認めて、発明の要旨認定において明細書の記載を参酌する知財高裁判決が存在している。

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