サブリース
法律用語集

サブリース

読み方
さぶりーす
業務分野

1 「サブリース」とは

「サブリース」とは、所有者(オーナー)から不動産を転貸目的で借り受けて、これを第三者に転貸することをいいます。本来的な語源は、不動産のオーナーから借り受ける賃貸借契約が「マスターリース契約」であり、第三者に転貸する賃貸借契約が「サブリース契約」なのですが、一括借り上げ等の方法によるマスターリース契約であって賃料保証型のものについてサブリースと呼ばれることが多いようです。

そのため、このようなサブリースを取り扱うサービスを「サブリース事業」、サブリース事業を取り扱う業者を「サブリース業者」と呼ぶことがあり、サブリース事業において、サブリース業者はオーナーから複数の物件をまとめて借り受け(一括借り上げ)、転借人の有無にかかわらず、サブリース業者がオーナーに対して毎月一定額の賃料(保証賃料)を支払う旨の条項が盛り込まれることが通例ですが、サブリースと総称される契約の内容は個別の契約形態によって千差万別ですので、サブリースという用語のみで即断することなく、個別の契約条項を十分に吟味することが重要です。

2 「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」の施行

(1) 背景

賃貸住宅の管理は、従前、自ら管理を実施するオーナーが中心でしたが、近年、オーナーの高齢化や相続等に伴う兼業化の進展、管理内容の高度化等により、管理業者に管理を委託等するオーナーが増加し、それに伴い、管理業者とオーナーあるいは入居者とのトラブルが増加しました。特に、サブリース事業においては、家賃保証等の契約条件の誤認を原因とするトラブルが多発し、社会問題化しました。

そこで、サブリース業者とオーナーとの間の賃貸借契約(マスターリース契約)の適正化のための措置を講ずるとともに、賃貸住宅管理業を営む者に係る登録制度を設け、その業務の適正な運営を確保する「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(令和2年法律第60号、賃貸住宅管理業法)が令和2年6月12日に成立しました。

(2) サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置(2020年12月15日施行)

賃貸住宅管理業法は、全てのサブリース業者に対し、①誇大広告等の禁止(28条)、②勧誘時における、故意に事実を告げず、又は不実を告げる等の不当な行為の禁止(29条1項)、③サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の締結前の重要事項説明(30条1項)等を義務付けました。

また、サブリース業者と組んでサブリースによる賃貸住宅経営の勧誘を行う者(勧誘者)についても、契約の適正化のための規制の対象としました(28条、33条、34条、42条、44条)。

(3) 賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設(2021年6月15日施行)

賃貸住宅管理業法は、賃貸住宅管理業を営もうとする者について、国土交通大臣の登録を義務付けました(3条1項本文)。

また、登録を受けた賃貸住宅管理業者について、①業務管理者の選任(12条)、②管理受託契約締結前の重要事項の説明(13条1項)、③財産の分別管理(16条)、④委託者への定期報告(20条)等を義務付けました。

(弁護士 森田豪丈 /2022年5月17日更新)

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