関税法337条
法律用語集

関税法337条

読み方
かんぜいほう337じょう
業務分野

米国の関税法337条は、米国への輸入における不公正な行為により米国産業に被害が生じる恐れがあるときに、輸入品の排除、不公正行為の差し止めを米国国際貿易委員会(US International Trade Commission, ITC)が判断し、命令を発する権限を規定する法律である。特許侵害は典型的な不公正行為にあたる。

ITCは準司法的な独立行政委員会で、委員会は6名の大統領によって任命される委員で構成されるが、その下で、行政法判事(Administrative Law Judge)が裁判手続に類似した手続きで関税法337条違反の有無についての仮決定を行い、委員会がその仮決定を認めれば委員会の決定となる。関税法337条違反の調査を求める特許権者は、ITCに調査開始の申し立てを行い、調査開始決定がなされると、被申立人に調査開始の決定が送達され、当事者対立構造の手続きが始まる。この調査には、申立人、被申立人のほか、公共の利益を代表する不公正輸入調査室(OUII)の調査官が当事者として参加する。

ITCの決定は調査開始後15ヵ月以内になされることになっており、ITCが排除命令を出した場合は、大統領は60日以内に政策上の理由から排除命令を不承認とすることができる。ITCの最終決定に対してはCAFCへの上訴が可能である。

ITCの関税法337条調査手続きはIn Rem(対物)訴訟手続といわれ、被申立人(対人)ではなく、輸入物品を対象とする。したがって、排除命令が出されると、当該調査手続きに関与しなかった者が輸入する物品であっても、排除命令の対象物品である限り、排除される。

関税法337条の手続きは1980年代に日本企業が米国に進出を開始した当時、米国企業が日本企業を迎え撃つために多く行使されたが、その後1980年代末に、特許侵害訴訟が陪審裁判で行われるようになり、ITCよりも陪審裁判のほうが米国特許権者にとって有利と認識され、1990年代には事件数が減少していた。しかし、2000年代に入って再び事件数が増加し、最近は日本企業が他の日本やアジア等の企業を攻めるために、ITCが使われるようになっている。

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